子どもの泌尿器科

子どもの包茎

子どもの包茎子どもの包茎で悩む親御さんは多いかと思います。ほとんどの子どもは成長するにつれて剥けるようになります。しかし中には、病院で治療を受けなくてはならない包茎もあります。
「尿が中に溜まってしまう」「何度も炎症になる」などを、排尿や皮膚に関するトラブルが続いている場合は、お気軽に当院へご相談ください。

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包茎とは

包皮によって亀頭が完全に包まれていて、包皮を剥こうとしても亀頭が出てこない状態です。包皮を剥けても全く亀頭が出せないタイプや、少しだけ亀頭を出すことができるタイプまで、多岐にわたります。子どもの場合は、亀頭に包皮がくっつくことで、包皮が剥けないという可能性があります。

包茎の原因

包皮の一部である、包皮輪が狭くなることで起こります。成長すると自然と剥けるようになるケースがほとんどです。亀頭包皮炎を繰り返しやすいのですが、尿路感染症や腎臓障害の発症リスクはそこまで高くありません。このことを踏まえながら様子を伺い、治療するかどうかを決めていく必要があります。

治療が必要な子どもの包茎

など

包茎の治療方法

薬剤による治療

包皮が狭くなっている箇所に、ステロイド軟膏を塗る方法です。少量の軟膏を1日2回塗る治療を、1か月ほど継続していただきます。塗布する薬の量が少ないので、副作用のリスクも少なく済みます。効果が得られる確率もかなり高めです。ただし、治療で剥けるようになったとしても、放っておくと再び包茎に戻ってしまいます。「お風呂に入る時は必ず包皮を剥いて洗う」などの対処法を行うと、より治療後の状態が維持できます。

包皮輪拡張

狭い包皮輪を、器械で拡張していく治療です。この方法に成功した場合でも、包茎へ戻らないよう、お風呂の時に必ず包皮を剥いて洗う習慣をつける必要があります。

手術

手術上記の方法を行っても改善されなかった場合、治療に成功したがすぐに包茎に戻ってしまった場合は、手術を選択します。
なお、手術(環状切除術)は真性包茎を対象としています。ただし、カントン包茎になったことの仮性包茎や、勃起していない状態でも剥けている状態にしたい方でも、手術を受けることは可能です。日帰り手術で行いますので、入院する必要はありません。
包皮輪を含めた不要な包皮を切り取った後に、体内へ溶ける糸を使って、丁寧に医師の手で縫合していきます。
局所麻酔をかけてから約60分で終わります。手術後は、そのまま歩いてお家に帰ることができます。

亀頭包皮炎

包皮に炎症が生じる疾患です。主な原因菌は「ブドウ球菌」で、特に包茎の方は発症しやすい傾向が強いです。「おちんちんの先端が赤く腫れる」「膿が出る」などの症状を起こし、患部を触ってみると強い痛みが起こります。ただし尿道の炎症はないので、尿を出す時に痛みを伴うことはほとんどありません。

診断と治療

おちんちんの状態をチェックしてから診断を下します。細菌の感染によって発症しているので、抗生物質を用いた薬物治療が効果的です。抗生物質軟膏を塗ったり薬を飲んだりすると、数日程で状態が良くなります。包茎による亀頭包皮炎の場合は、包茎の治療も一緒に行います。

尿道下裂

尿の出口が亀頭部先端ではなく、他の部分に生じてしまう、先天的な形態異常です。亀頭手前のくびれたところや、おちんちんの付け根、陰嚢などに尿道ができるケースもあります。特に、包皮で隠れている部分に尿道があると、発見が遅れやすい傾向があります。
尿の出るところや出かた、その向き、包皮が膨らんでいないかなどで、心配な点がありましたら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

移動性精巣(遊走睾丸)

陰嚢に触れてみて、「精巣が確認できる時」と「できない時」がある場合は、「移動性精巣」の可能性が高いです。まず、精巣は筋肉によって支えられています。この筋肉が緊張・刺激によって縮むと、陰嚢は鼠径部(そけいぶ)にある鼠径管へ上ります。
精巣の状態をチェックするには、お風呂に入っている時や寝る前など、リラックスしている時に行いましょう。リラックス時でも、左右で同じ大きさの精巣が陰嚢の底まで落ちていない場合は、治療を受けないといけません。

停留精巣

お腹の中にいる赤ちゃんの場合、精巣は腹腔内に存在します。成長するにつれて精巣は、陰嚢へ降りはじていきます。そして産まれた頃には、正常な位置まで落ちているのです。滞留精巣は、落ちてくる途中の腹腔内や鼠径部などで、精巣が留まってしまう疾患です。
放っておいても落ちてくることはありません。男性不妊症の原因にもなりますし、がんのリスクも高くなりますので、早期発見して手術を受ける必要があります。

診断と治療

陰嚢に触れても精巣が確認できないため、出生した時または定期検診をきっかけに、発見されるケースが多いです。診療時には触診を行い、精巣がどこまで落ちているのかをチェックします。
触診でのチェックが難しい場合は、超音波検査を実施します。超音波検査でもチェックできない場合は、腹腔鏡で確認します。位置が確認できましたら、精巣の成長に影響を及ぼさないよう、早めに手術を行う必要があります。

小児の陰嚢(精索)水腫

精巣と精索(せいさく)は、陰嚢内鞘膜(いんのうないしょうまく)に包まれています。陰嚢(精索)水腫とは、その膜の中に、液体が貯留されてしまう疾患です。胎児の頃は腹腔から出っ張っている鞘状突起(しょうじょうとっき)に、陰嚢内鞘膜がくっついています。ほとんどの場合、生まれてくるとこの通路は閉じられます。生まれてきた後でもこの通路が閉じられていないと、体液が陰嚢内鞘膜の中に入り、腫れなどの症状を引き起こしてしまいます。
発症すると陰嚢が大きくなるので、出生時や定期検診をきっかけに発見されるケースが多くありますがよくあります。痛みは伴わないと言われていますが、放置すると精子を作る機能が下がってしまい。男性不妊症になる恐れがあります。鼠径ヘルニアでも陰嚢の腫れが見られるので、医療機関にてきちんと鑑別することが重要です。

診断と治療

まずは超音波検査で体液がないかを確認してから、診断を下します。ある程度の液体が貯留されてから鞘状突起が閉じられている可能性もあるので、針を刺して液体を抜いた後は、再発が起きないか経過観察を行う必要があります。鞘状突起が閉じられていると確認できましたら、治療終了です。針穿刺を何度も行っても体液が貯留されてしまう場合は、手術を選択します。
残念ながら、穿刺は根本的治療になりません。根治させるには、陰嚢の皮膚を切り開き、陰嚢水腫の原因である精巣鞘膜の大部分を摘出する手術が必須です。
当院では手術での根本的治療をお勧めしています。手術は日帰りで行っています。
ただし、癒着部位からの出血などによって、手術が難しくなるケースも存在します。特に何度も穿刺を受けた方は、安全を考慮する必要があるため、日帰り手術ではなく、2〜4日入院して治療を受けていただきます。

夜尿症

夜尿症排尿に関わる機能の発達スピードは、子どもによってかなり異なります。まだ幼い年齢でしたら、排尿コントロールが上手くできないので、おねしょをしても珍しくありません。
しかし5~6歳以上になってもおねしょが続く場合は「夜尿症」と診断されます。

大人のおねしょ
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「あせらない」・「おこらない」
・「おこさない」

おねしょはわざと行っているわけではないので、叱る・怒るなどのしつけは逆効果になります。怒られることでストレスが溜まり、かえって悪化させてしまケースが多くあります。
子どもが成長するには十分な睡眠時間だけでなく、質の高い睡眠も重要です。おねしょを止めさせようと夜中に起こしてしまうと、目が覚めてしまうため、質の高い睡眠が取れなくなります。成長にマイナスの影響を与える恐れもあります。
おねしょを卒業する早さは一人ひとり違うので、「早く治さないと!」と焦らないことも大切です。子どもはご家族からのプレッシャーを受け取りやすいので、寝ること自体がストレスになってしまう可能性もあります。難しいかもしれませんが、「解消されるまでゆっくり待ってみる」「怒らない」「ゆっくり寝かせる」を心がけてみましょう。

夜尿症の原因とタイプ

原因によって、夜間多尿型と排尿機能未熟型に大別されます。両方に当てはまっている混合型もあります。
タイプによって適切な治療法が変わるので、排尿日誌をつけて夜尿症のタイプを探っていく必要があります。

夜間多尿型

夜間の尿量が多いタイプです。おねしょの尿量が多い場合は、このタイプである可能性が高いです。
利尿ホルモンの分泌不足や水分の摂りすぎ、塩分の過剰摂取、ストレスなどによって起こります。

排尿未熟型

膀胱内におしっこを貯留させる力、おしっこを我慢する力など、排尿に関わる機能がまだ発達しきれていないタイプです。
昼間でも頻尿になりがちな子は、このタイプである可能性が高いです。

混合型

夜間多尿型と排尿未熟型、どちらの特徴も持っているタイプです。

排尿日誌

排尿した回数や排尿した量、おねしょの回数と量、最大我慢尿量、飲んだ水の量といった、排尿に関わるデータを全て記録していきます。夜尿症のタイプを探るために行われています。また、治療を始めた後でも、経過確認を行うために継続していただきます。

診断と治療

問診と尿検査、排尿日誌のチェックを行い、夜尿症のタイプや重症度についての診断を下します。夜尿症の重症度は成長とともに高くなります。同じ夜尿の回数・量だったとしても、年齢が上の方が、重症度が高いと診断されます。

夜間多尿型の治療

夕方以降の水分制限などを行い、夜間の尿量を抑えていきます。起床した直後からお昼までは、こまめに水分摂取を行い、夕方~夕食までの時間になりましたら水分を控えていただきます。そして夕食を食べた後は、水分を摂らずに就寝してください。夏場などで喉が渇きやすい場合は、氷を舐めてみましょう。また必要に応じて、内服薬を服用していただくこともあります。

排尿未熟型の治療

膀胱が小さいので、膀胱を大きくするトレーニングを行います。10歳まででしたら200mL、10歳以上の場合は250mL以上を目標とします。自宅内で昼間に、できる範囲でおしっこを我慢するトレーニングを継続していただきます。膀胱の収縮力を抑える薬を飲んでいただくこともあります。

夜尿症で用いる内服薬

膀胱容量を大きくする場合は、抗コリン剤を使用していきます。夜尿がひどい場合には、一時的な抗利尿ホルモンの処方が効きやすいとされています。また、三環系抗うつ剤の服用で良くなるケースもありますが、2週間服用を続けたら1週間休薬し、それ以降は慎重に経過観察をしていく必要があります。

尿失禁
・おむつが取れない

「昼間のおもらし」や「尿漏れ」「トイレを我慢できない」といった排尿障害を治さずにいると、尿路感染症を繰り返しやすくなります。何度も再発すると、腎機能障害に至る可能性もあるので注意が必要です。子どものおむつが取れる時期は、一人ひとり違うので、幼い時でしたらそこまで気にする必要はありません。
しかし、膀胱や尿道などのトラブルで排尿障害になっているケースも考えられます。排尿障害が長引いている場合は、泌尿器科へ行き、二分脊椎(にぶんせきつい)や後部尿道弁、神経因性膀胱などがないか、膀胱や尿道の神経・機能・形に先天的な異常がないかを調べましょう。

尿失禁について
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神経因性膀胱

膀胱内の尿を貯留する機能や、勢いよく尿を出す機能に問題があることで、尿漏れや排尿困難などの症状が現れている状態です。
腎臓へ負担がかかってしまう恐れがあるので、症状に心当たりのある方は、早めに当院へご相談ください。

膀胱尿管逆流症

腎臓で生成された尿は、尿管を通過して膀胱へ貯留されます。膀胱尿管逆流症とは、膀胱内に貯留された尿が逆流して、尿管や腎臓へ帰ってきてしまう疾患です。腎臓・尿管の感染や腎盂(じんう)炎、水腎症などの原因にもなりますし、腎機能低下のリスクを高める可能性もあります。何度も発熱を起こす、尿の濁り・異臭、吐き気、嘔吐などの症状がありましたら、膀胱尿管逆流症である可能性が高いです。

精巣捻転症

10~15歳頃の思春期に多く見られる疾患です。精巣と、精巣へ向かう血管が急に捻じれることで、精巣への血流が途絶してしまいます。放っておくと精巣が機能しなくなるので、できる限り速やかに手術を受けなくてはいけません。
主な症状としては、陰嚢の痛みや腫れ、鼠径部痛、腹痛、嘔吐などが挙げられます。陰嚢に激痛が走った時は、この疾患の可能性が高いので、一刻も早く当院へ受診しましょう。

精巣上体炎

精巣上体とは、精巣の上に、帽子のように被さっている臓器です。精子が通過する道でもあります。精巣上体炎とは、尿道などから細菌が入り込んで精巣上体に感染し、炎症を起こしてしまう疾患です。主な症状としては、頻尿や陰嚢の痛み、排尿痛などが挙げられます。尿検査で異常を指摘されたのをきっかけに、発見されることもあります。炎症がひどくなると発熱が現れます。血液検査で炎症が発見されることもあります。
抗生物質の服用や点滴による治療が効きますが、再発する可能性もあるので、注意する必要があります。また、精巣捻転と症状が似ているため、正確な鑑別とが必須となります。

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